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”やり切れる気がしなかった”作業がゼロに。
~数百社のタイムシートOCR読み取り設定作業をAI技術がすべて不要にした、グロップ×「カタヨセ」の半年間の挑戦~
- 会社
- 株式会社グロップ
- 業種
- 人材派遣業、各種アウトソーシング
- 事業内容
- 製造業を中心とした人材派遣・業務支援 、各種アウトソーシング事業
- 対象業務
- 派遣先ごとに異なるタイムシートの取り込み・整形・基幹システム連携

概要
「1社あたりの設定に1時間、それが数百社分。”やり切れる気がしなかった”」—— 株式会社グロップ HS総務部の原田 日向子様がそう振り返るほど、月次の勤怠取り込みは大きな負荷となっていました。製造業を中心に派遣先は数百社、手入力が必要な派遣スタッフだけで数千人。そのタイムシートを派遣先ごとにバラバラなフォーマットのまま受け取り、基幹システムへ取り込む業務です。
これまでは他社AI OCRサービスで紙帳票をデータ化していましたが、帳票ごとに読み取り枠と出力項目を手動で設定する必要があり、対応を広げるほど設定工数が膨らむ構造になっていました。
そこで導入したのが、MiDATAが提供する「カタヨセ for タイムシート」です。非構造データを指定フォーマットに揃える部分から整形・マッピングまでを一括で担います。グロップは他社AI OCRサービスの契約更新を区切りに、並行運用なしで切り替える決断を下しました。導入からおよそ半年、月次業務の景色は確かに変わりはじめています。
背景と課題
派遣スタッフの勤怠の入力方法は派遣先ごとに様々で、システムに打刻する場合もあれば、紙の手書きタイムシートを使うこともあります。現場で就業する派遣スタッフは手入力が必要なだけでも数千人に上ります。
グロップ側では、各拠点の担当者がお客様からタイムシートを回収し、手入力が必要なタイムシートはHS総務部(ヒューマンソリューション総務部)に集約。HS総務部が派遣先ごとのフォーマットに合わせてデータ化し、社内の基幹システムへ取り込むという流れで運用しています。派遣先からの受領形式も CSV・PDF・画像・紙と多岐にわたり、大半は PDF や画像のため、OCR で読み取って CSV 化してから基幹システムに連携する必要がありました。
こうした業務構造の上に、HS総務部の月次の勤怠取り込みには以下のような構造的な課題が積み重なっていました。
1. 「処理量」がビジネス拡大のボトルネックに
派遣先やスタッフが増えるほど対象となる業務は増えます。ところが、デジタル化が追いつかないと、足りない分は各拠点の担当者が基幹システムに手入力で埋めていくしかありません。
つまり、本来担当者が時間を使うべきスタッフフォローや営業活動などを圧迫することになります。事業の拡大そのものが、事務処理のキャパシティに縛られる構造になっていました。
HS総務部としては、拠点から勤怠処理を巻き取り、本来注力すべき業務に時間を割くことができるように、処理対象の派遣先を一社ずつ広げていく必要がありました。
「ビジネスを拡大していくうえでも、デジタルで処理可能な割合を増やすことは至上命題でした」(原田様)
2. 作業工数がかかっていた
他社AI OCRサービスでは、帳票の読み取り位置を画面上に枠で指定し、出力 CSV の列構成まで手動で設定する必要があり、1社あたり1時間以上かかることも珍しくありませんでした。テスト読み取りで失敗すれば、再設定のやり直しです。
締め日は派遣先ごとに15/20/25/月末の4パターン。中でも月末締めが圧倒的に多く、処理は毎月1日に集中します。原田様の大きな残業も、この日に重なっていました。読み取り後は Excel で時間表記を手直しし、ダブルチェックを挟みながら月次処理を回す日々が続きます。
「正直に言うと”やり切れる気がしない”と感じていました。1社あたりの設定に1時間、帳票によってはそれ以上かかるものもあって、それが数百社分ある。1社ずつ潰していくのか、と考えると気が遠くなるような作業でした」(原田様)

3. ツール利用コストと節約のための工数
従来利用していたツールでは、読み取り量・文字数ベースで利用料金が決まるのですが、これが結構なコストになっていました。
余計なコストを抑えるためには読み取る箇所を最小限に絞るなどの工夫が必要で、その結果、派遣先の締めサイクルの都合によっては「1か月分」だけではなく、「半月分用」や「10日分用」といったかたちで対象期間ごとに読み取り設定を分割して作る運用が必要でした。コストを抑えるための分割が、結果として人員工数を増やすという、二重の負荷構造でした。
プロジェクトの推進とテクノロジー活用
長年の課題を解決できたきっかけ
転機となったのは、MiDATA社からの提案を受けたことでした。原田様はその対話のなかで、課題になっていたタイムシートOCRの領域においてMiDATA社の「カタヨセ」が有効であるとすぐに感じることができました。
「他社のシステム営業では専門用語が多く、こちらの業務に当てはめて理解するのが難しいことが多かったんです。MiDATA営業の中村さんはこちらがうまく言語化できていなかった課題を、こちらの言葉に置き換えて整理してくれました。打ち合わせ終了後に、社内のメンバーと”分かりやすかったね”と話したのを覚えています」(原田様)

“読める”の先へ、”そろえる”まで
採用された「カタヨセ for タイムシート」は、非構造データを構造化し、指定のフォーマットへ整えるAIサービス。手書きを含む紙帳票、PDF、Excel、Word、PowerPointといった多様な形式を受け取り、グロップが指定するCSVへ自動で整えます。OCRが”紙を読めるようにする”までだとすれば、カタヨセはその先の”そのまま使える形へそろえる”までを一気通貫で担うツールです。
本プロジェクトを主導したMiDATA製品開発チームリーダーの村田圭吾氏は、こう説明します。
「カタヨセは、LLMと従来型の機械学習や既存OCRエンジンを組み合わせたアプリケーションとして提供しています。LLMだけでは判定しづらい帳票の向きの判別などにも安定して対応でき、高い読み取り精度を実現しています」
「従来以上の精度」で一気に切り替え
本来であれば1か月程度の並行運用を挟むのが通常ですが、既存システムの解約期日などの関係から、グロップでは他社AI OCRサービスの利用を停止した翌日からカタヨセに一気に切り替える決断をします。
「社内では”大丈夫か”という声もありました。でも、事前検証で読み取り精度は従来より高いと確認できていましたし、MiDATAさんが万が一に備えたフォロー体制まで整えてくださっていました。結果として大きなトラブルなく回り始めました」(原田様)
事前検証は、本番同等のエンジンで実データを走らせ、MiDATA側で用意した正解データと突き合わせる形で実施。原田様が最も気にしていた読み取り精度を、契約判断の前にデータで確かめられたことが、この決断を後押ししました。
導入効果・成果
導入からおよそ半年。背景と課題で整理した3つのボトルネックは、それぞれ次のようにほどけています。
作業工数の大幅削減
他社AI OCRサービス時代に最大の重しだったのが、帳票ごとの読み取り枠設定、出力項目マッピング、テスト読み取りの繰り返しといった事前設定作業でした。カタヨセ導入後は、これらがそもそも不要に。1社あたり1時間以上かかっていた設定が”まず動かしてみる”に置き換わり、対応できる派遣先を広げる心理的・実務的なハードルが大きく下がりました。読み取り精度も従来より向上し、出力後にExcelで時間表記を手直しする作業が減りました。ダブルチェックは引き続き行うものの、手直しなしで処理を通せるケースも出てきています。

処理数は3倍に
原田様が担当を引き継いだ当初、処理対象は約300人分。現在は約3倍の月約1,000人分を回せる状態となりました。フォーマット設定の負荷が下がったことが、対象のタイムシートが増えても工数が増えずに済んでいる大きな要因です。
“コスト節約のための工数”も不要に
課金が読み取り量・文字数ベースだったために必要だった”設定分割”という運用も、カタヨセでは要らなくなりました。読み取り量を抑えるために帳票を刻む必要がなくなり、コスト面の改善にもつながっています。
原田様は成功の要因をこう振り返ります。
「外部の会社と一緒に新しい仕組みを立ち上げるのは、私にとって実質的に初めての経験でした。それでも前に進められたのは、こちらの言葉で課題を整理してもらえたこと、そして”まず動かしてみて、足りないところは一緒に直していきましょう”というスタンスで伴走してもらえたことが大きかったと思います」
今後の展望
「カタヨセ」は今後もグロップの工数削減につながるさまざまな機能拡張が予定されています。
「カタヨセを導入して半年ですでに成果につながっていますが、これから拡張される予定の機能によってさらなる業務効率化につながる見込みです。MiDATAさんにもご協力いただきながら、しっかりと活用していきたいと考えています」
また、AIに取り組みたい企業に向けて次のように語っています。
「AIと聞くとイメージしづらかったり、身構えてしまいがちですが、自分たちの業務の困りごとをそのまま相談してみると、思っていなかった領域で効果が出ることがあると感じました。MiDATA社のようなプロに、”AIで何ができますか”と問うよりも、”この業務のここが重いんですが”と具体的に話してみるのが結果的に近道なのかもしれません」
まとめ
グロップは、カタヨセ for タイムシートの導入によって、派遣先ごとにバラバラだったタイムシートを”指定フォーマットに揃った形”で受け取れる体制に変わりました。OCR単体では吸収しきれなかった設定・マッピング・複数締め対応といった周辺工数が軽くなり、月次処理を安定して回しながら対象を広げていける状態に近づいています。
「OCRを入れたのに、現場はまだ手作業に追われている」——もしそう感じる組織があれば、それは”読み取り”の前後プロセスを誰かが人手で抱え続けているのかもしれません。紙と多様なフォーマットが残る現場にとって、そこが業務改善の成否を分けるポイントになりそうです。

